ゆらぎ

 

ストラクチュアル・インテグレーション(ロルフィング®)での解剖の授業で、からだの内部、脳の内部を、見て、触れた時でした。
この内部と同じ物が、私自身のからだの内部にあることに、驚愕、そしてアートだと思いました。
進化における、最高の芸術、創造物は、人間のからだだと!
そして、複雑な仕組みの中で、それぞれが役割を果たし、全体として機能していることを学びました。

その中でも、筋肉ってどういうメカニズムで、あのような複雑な動きを可能にしているのだろうって思っていました。
筋肉は、アクチンとミオシンという2種類のタンパク質分子が、その動きを司っています。

レール役のアクチン繊維の上を、モーター役のミオシンが動き、力が出来、筋肉が動きます。
1995年までは、ATPという、エネルギー物質1つにつき、音符みたいな形のミオシンが首を、1回振ってミオシンの頭が歯車みたいにアクチン繊維状を動いている、つまり、オートマチックなメカニズムが一般的に知られていました。
ところが、このメカニズムに疑問を持ち、研究、そして新たなメカニズムを発見した方が、柳田敏雄さんです。

 

岩波講座 物理の世界 物理と情報〈7〉生物分子モーター―ゆらぎと生体機能/柳田 敏雄

柳田敏雄さんは、ミオシンがアクチンの上を、規則的に動いているのではなく、前後左右にふらふらしながら、つまり『ゆらぎ』ながら、よく見るとある方向に動いていることを発見しました。
脳は指令を送るだけです。例えば、『消しゴムを拾いなさい』と指令、各分子に、どの方向に、どれぐらいの距離で、拾いなさいとは、言わないのです。
この時、ミオシンは、ふらふら動きながら、色々な方向性の中から、方向、距離を探し、最終的に拾うという、動きが完了します。
つまり人間は、脳に過度な依存をさせずに、末端の分子という個々がふらふら動きながら、『ゆらぎ』ながら、自律的に全体が機能するというシステムを、進化の過程で、築き上げて来たのです。
この人間の進化、つまり創造の連続が、今の、人間のからだなのです!

そして、進化、創造の源にあるもの、それが『ゆらぎ』なのです。
オートマチック、機械的に動いたり、引かれたレールの上を歩む人生より、色々悩み、あ~でもない、こ~でもないと、ふらふらしながら、『ゆらぎ』ながら、自分自身を生きるほうが、自然で、新鋭、創造性にあふれた、からだの叡智に基づいた、生き方のような気が致します。
勿論悩みながらも、短期ビジョン、長期ビジョンを持って!
(自分自身、長い間ふらふらしすぎですが・・・。笑)
そして、この本は脳からのアプローチで、脳と行動の、そして人間や生物の驚くべき進化のメカニズムを紐解く、名著です!

 

単純な脳、複雑な「私」/池谷裕二

今回はご紹介のみ。改めて持論と合わせて、書きたいと思います。
ゆらぎ』第2弾、こっちも衝撃的!
『ゆらぎ』はゆとりにも繋がり、『空』『虚』にも繋がっていく。
ところで、今日食べたい食べ物や、行動も、まずは、自分のからだに訊いてみることもお勧めです。 からだは語ってくれますよ~。
そして、直感力もUP!アップ